――――Japan Association for East Asian Text Processing(JAET)―――― △▼△▼△▼△ 漢 字 文 献 情 報 処 理 研 究 会 △▼△▼△▼△ ▽▲▽▲▽▲▽ メ ー ル マ ガ ジ ン ▽▲▽▲▽▲▽ ―――――――――――― http://www.jaet.gr.jp/ ――――――――――― ========== 東洋学研究・教育の電子化と電脳漢字処理の最新情報 ========== ■□ 2003.8.15 □■ ■□ 第三十九号 □■ ――――――――――――――――――――――――――――――――――― ・メーラーを等幅フォントに設定してください。 ・バックナンバーの閲覧・検索は、http://jaet.gr.jp/mag/ でどうぞ。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――― 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ◆◇ JAET か ら の お 知 ら せ ◇◆ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ――――――― ■会員向け情報 ――――――― ○臨時総会の報告 8/2に開催された臨時総会で、会則改正などの議題が承認されました。会 員のみなさまは、以下の報告ページをご確認ください。 http://www.jaet.gr.jp/JAET-BBS/2003a.html ○オンライン討論会参加者募集中! 既にメルマガ第三十五号でお知らせしましたように、今秋発行予定の『漢 字文献情報処理研究』第四号では、人文学情報処理教育についての特集を 組む予定です。そこで編集部では前号で好評であったオンライン討論を再 び企画しました。本年度は「人文学情報処理教育における教える側の問題 (仮題)」ということで討論が開始されています。会員諸氏におかれまし ても積極的に参加いただきたくお願い致します。オンライン討論の趣旨は http://jaet.gr.jp/JAET-BBS/an/00617.htmlを、発言のルールについては http://jaet.gr.jp/JAET-BBS/an/00619.htmlをご覧ください。 ○会費納入のお願い 2002年度・2003年度会費が未納の方は、出来るだけ早くお振り込みくださ い。振込口座は http://www.jaet.gr.jp/JAET-BBS/(会員専用)トップペ ージにてご確認ください。 ○新入会員(2003.7.26〜2003.8.10) 1名の方が新たにJAETに入会されました。 ====================================================================== 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ◆◇ JAET-BBS ダ イ ジ ェ ス ト・2003.7.26〜8.10 ◇◆ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ・漢情研会員はリンクをクリックするとJAET-BBSの当該発言を閲覧できます。 ――――――――――――――――――― ■雑談 <電脳・社会・学界をめぐって> ――――――――――――――――――― ○中国製CPU「飛龍」推参! Linuxと中国語に最適化した中国製CPU「飛龍」が発表される。 http://jaet.gr.jp/JAET-BBS/contents.cgi?room=ac3&mes=211 ○インターネットなどが流行ると学生は… 本メルマガ前号のコラムを受けて。インターネットの普及で減ったのは、 読書時間ではなくテレビの視聴時間なのではないか、という調査結果の紹 介等。 http://jaet.gr.jp/JAET-BBS/contents.cgi?room=ac3&mes=214 ○「東洋学情報化と著作権問題」大成功! 成功裏に終わった漢字文献情報処理研究会・2003年夏期公開講座の報告と 議論の続き(下記コラムも参照)。中国・台湾の法律情報、訓読の著作権 性についての判例などの紹介。 http://jaet.gr.jp/JAET-BBS/contents.cgi?room=ac3&mes=218 ○携帯で中国語をピンイン入力 携帯電話からピンイン入力で中文メール(簡体字)を作成、送受信できる サービスがauで始まった模様。 http://jaet.gr.jp/JAET-BBS/contents.cgi?room=ac3&mes=222 ○情報教育の現場は大変そう 小学校から大学まで、情報教育の現場は問題山積。学校間の格差、児童・ 生徒・学生の能力の差、教員の意識の違い、教員採用時の矛盾等々。PC カンファレンスでの報告。 http://jaet.gr.jp/JAET-BBS/contents.cgi?room=ac3&mes=222 ○北京大と早稲田大が合弁 中関村に拠点を置き、中国語音声認識やネット検索ソフトを開発するとの 報道。 http://jaet.gr.jp/JAET-BBS/contents.cgi?room=ac3&mes=225 ○PCカンファレンス2003雑感 情報教育、コンピュータを使った教育に関するイベントの報告。台風の影 響で日程に乱れがあったものの、盛況だった模様。「情報」であればそれ でいいという風潮は反省されつつあるも、トホホな発表もちらほら。 http://jaet.gr.jp/JAET-BBS/contents.cgi?room=ac3&mes=237 ―――――――――――――――――――――― ■電脳情報 <Webサイト・ソフトウエア etc.> ―――――――――――――――――――――― ○【ソフト】中国語処理ソフト「C_LEX」 UTF-8、GB2312、Shift_JIS等に対応し(Big-5は未対応)、検索、ピンイ ンへの変換、単語分割、辞書機能などを備えたソフトウェアの紹介。 http://jaet.gr.jp/JAET-BBS/contents.cgi?room=info2&mes=502 ○【マクロ】Word Breaker Word + Proofing Tools環境で、中国語(韓国語も?)の単語区切りが可 能なマクロの紹介。千田大介氏作。 http://jaet.gr.jp/JAET-BBS/contents.cgi?room=info2&mes=507 ○【書籍】『文字コード「超」研究』 深沢千尋著、株式会社ラトルズ刊。内容満載でオススメ。 http://jaet.gr.jp/JAET-BBS/contents.cgi?room=info2&mes=508 ○【サイト】道教学術資訊網 正統道蔵の画像PDFを着々と公開中。会員登録に不具合? http://jaet.gr.jp/JAET-BBS/contents.cgi?room=info2&mes=509 ○【ソフト】字通CD-ROM 四角号碼検索が便利。外字領域を使用せず、ハードディスクに入れられる のもグッド。 http://jaet.gr.jp/JAET-BBS/contents.cgi?room=info2&mes=513 ※ 詳細なレビューを『漢字文献情報処理研究』第4号に掲載予定。 ○【書籍】『一太郎でたて書き 日本語独自の世界を表現する』 ハーティネス著、ジャストシステム刊。 http://www.justsystem.co.jp/book/taro/taroleng.html?m=jui01 http://jaet.gr.jp/JAET-BBS/contents.cgi?room=info2&mes=515 ○【サイト】中国甲骨文献庫 要会員登録だが、文献の閲覧が可能。ただし画像はかなり不鮮明とのこ と。 http://jaet.gr.jp/JAET-BBS/contents.cgi?room=info2&mes=517 ○【サイト】「百度」の機能が増えました 中国語Web検索サイトがアップグレード。従来のWeb検索に加え、ニュース、 音楽ファイル、画像ファイルなどの検索が可能に。繁体字版も。 http://jaet.gr.jp/JAET-BBS/contents.cgi?room=info2&mes=518 ―――――――――――――――――――――― ■文字処理情報 <テキスト処理と文字コード> ―――――――――――――――――――――― ○morogram --e オプションのバグ? Unicode対応Nグラム解析ツールに不具合が。 http://jaet.gr.jp/JAET-BBS/contents.cgi?room=code2&mes=488 ○Ext.B文字も自動生成するフォントエディタ 台湾中央研究院資訊所の成果を利用したフォント自動生成エディタの紹介。 部首索引的な文字検索、ビットマップでのコピーも可能。参照:紅眠の愛 の秘密日記(http://www.din.or.jp/~khoming/nikki/2003_06.htm) http://jaet.gr.jp/JAET-BBS/contents.cgi?room=code2&mes=491 ―気まぐれコラム――――――――――――――――――――――――――― 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ◆◇「東洋学情報化と著作権問題」参加レポート◇◆ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 もろしげき ■著作権講座、盛会に終わる 去る8月2日に慶応大学日吉キャンパスで開催された漢字文献情報処理研究会・ 2003年夏期公開講座「東洋学情報化と著作権問題」は、30人以上の参加者を集 め、予定された4時間があっという間に過ぎてしまうほどの盛会で終わった。 前半は一時間半の予定で、講師の石岡克俊氏(慶應義塾大学産業研究所助教授) に著作権法の概論をしていただき、後半は参加者があらかじめ用意した具体的 な事例に対して石岡氏が法律的な解説・解釈を提示するとともに、より詳細な 議論を全員で行う、というものであった。実際には、前半の予定時間があっさ りと超過されてしまい、後半の議論もはしょり気味という司会者泣かせの進行 であったが、それが全体の充実感を損なうことはなかったように思う。 それは、単なる教える、教えられるという関係ではなく、石岡氏が我々の業界 の問題を法学的に興味深い研究対象として捉えておられたこともあって、講演 は非常におもしろく、それを踏まえた議論がさらに白熱(その勢いで懇親会も 議論が尽きず)したためである。加えて、参加者に図書館やデジタル・アーカ イブ構築の実務者が多く問題意識が高かったこと、また石岡氏自身が漢籍や日 本の古典を楽しんでおられた点なども理由としてあげられるだろう。有益な研 究会になったことを講師の石岡氏、主催者、参加者各位に感謝申し上げたい。 以下、このスペースを借りて、講演会の内容をメモ的にレポートしたい。まさ に生齧りの知識にもとづくものであるため、誤謬、誤解についてはご寛恕の上、 ご指摘いただければ幸いである。また、本研究会の機関誌『漢字文献情報処理 研究』第4号(10月刊行予定)に石岡氏の論文など関連記事が掲載される予定 なので、そちらを是非お読みいただきたい。 ■法律用語の基礎知識 講演会の前半は「著作権法のパースペクティブ」という題で、法律の条文の読 み方を(それこそ1条1項1号などという数え方から)講義していただいた。強 く印象に残ったものとして、次のようなものがあげられる: ・大陸法と英米法 ・自然人 ・有体物と無体物 ・「利用」と「使用」 ・「みなす」と「推定する」 ・任意規定と強行規定 ・私的自治の原則 例えば、ついついさらりと読み流してしまう著作権法の第一条にも多くの背景 がある: この法律は、著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作 者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利 用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与 することを目的とする。 これを正確に読むためには、次のような法学的「常識」が必要とされるのであ る: ・「著作<物>」というと、現実に所有したり売ったり買ったりすることがで きる<物>を想像してしまうが、それは法律的には「有体物」と言って民法 などの範囲に属し、著作権法が保護しようとする「無体物」とは区別される。 ・「隣接する権利」は、法律の二大潮流である大陸法(独仏など)と英米法で は前者にのみ認められるものである。ソフトウェアなどの著作権に関する議 論では、コンピュータ大国アメリカの法律家の意見がしばしば参照されるが、 日本は大陸法の系統に属するため、注意が必要である。 ・著作権法はもともとアーティスト保護的な側面があったため「文化」という 用語が見えるが、ソフトウェアなど、狭い意味ではアートには属さないもの も著作権法の対象となっている。したがって現在、この「文化」は「国民の 活動の総体」というような意味で用いられ、アートとしての質の高い低いな どは考慮されない(立ち話、便所の落書きも著作物)。 ・「利用」とは、著作財産権(22条以下)で規定されている許諾が必要なコピー などの行為を指し、それ以外の「使用」とは区別される。 このような背景知識を持たないまま議論してきたことを恥じ入る一方、我々が 問題としている古典籍やデジタル・データについては、日本の著作権法だけで は語れないことを痛切に知ることになった。 例えば、ある図書館が所蔵している写本について考えてみよう。著作権法が保 護の対象としているのは、写本に書かれた内容(無体物)であって、物理的な 実体をもつ写本そのもの(有体物)ではない。そして、写本そのものをどう扱 うかについては所有者である図書館に権利(民法で規定)があるので、閲覧な どについては図書館の制限に従うしかない、という具合である。 同様な問題として、例えば漢和辞典などの文字番号やページ番号を使ったデー タベースのことがあげられる。このような番号に著作権を認めることは困難で あり(アメリカではインデックスに権利を認める判例があるらしい)、それを 使ったデータベースを作ることも著作権法的には問題がないと考えられる。し かし、漢和辞典の出版社がデータベースによって売れ行きが損なわれると(主 観的に)判断した場合には、不正競争防止法などによってデータベースの公開 を差し止めることも可能であろう、という。 普段、論文などを書いたりしていることから著作権に対する親しみはあったも のの、まさか東洋学に関連して不正競争防止法や独占禁止法などが話題に上る とは思っても見なかったので、正直驚きを禁じ得なかった。また、有体物・無 体物の議論は、まるで文字コード問題における文字そのものとフォントとの関 係のようであり、個人的に興味深かった。 ■校訂は「創作」か、「真理の発見」か 次に、第2条第1項第1号を見てみよう。著作物とは何か、という規定である。 著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美 術又は音楽の範囲に属するものをいう。 ここに見える日常的な用語も、法学的なフィルターを通してみると次のように なる: ・「思想又は感情」は、自然人である人間のみが持つことができるものである。 企業などの法人には著作物を作ることができない。ちなみに人工知能につい ては、英米法では著作者であるとのこと。 ・「創作的」とはオリジナリティがあるという意味であって、クリエイティビ ティがあるという意味ではない。 ・前述の通り、「文化」=国民の活動の総体なので、ここでいう文芸云々の規 定は現在ではあまり意味を持たない。 ここで興味深いのは「創作的」という言葉の内容であろう。オリジナリティと いうのは、大雑把に言えば他のものにアクセスしていない(まねをしていない) ということである。ただ、ここで「アクセスしていない」というのは実際にア クセスしたかどうかでは判断されず、比較対象が「周知」であるかどうかによ る。例えば、書いた論文が、たまたま図書館に並んでいたある本の一部と一緒 だった場合、その本を見たことも聞いたこともなくても、その論文は「創作」 とは見なされない。図書館に並んでいれば、その本は「周知」されているから である。 ところでこの「周知」の範囲であるが、学術書にありがちな、きわめて少部数 のもので、かつ著者がほとんど買い上げたりしている場合でも、それは「周知」 であるという。つまり、不特定多数を意味しないのである。この点は注意が必 要であろう。 また、数学における証明や公式の発見などは「真理の発見」であって「創作」 に当たらない、という点も重要である。我々東洋学研究者が仕事として行って いるテキストの校訂作業は、原テキストを復原するという意味では「真理の発 見」に近く創作性が認められないかもしれない、という解釈が石岡氏によって 提示され、あわせて「平家物語事件」などの例が紹介された。ちなみにドイツ では「校訂権」という権利が、非常にハイレベルな場合に限るが認められてい るという(その後BBS上でも、訓読文に著作性を認める「将門記訓読事件」の 紹介もあった)。 これは大変興味深い議論である。文献研究の方法論を語る際、客観主義・実証 主義であれとナイーブに主張する人もいれば、「作者はいない」という立場を とる人も少数ではあるがいる。上記の考え方を乱暴にあてはめれば、前者は 「真理の発見」主義者、後者は「創作」主義者ということになろうか。そこま で極端ではなくても、校訂作業に“質”や“価値”、“個性”を見出す我々の 感覚との齟齬はについては議論を深めなければならないだろう。 ■さらなる議論に向けて 石岡氏も、校訂作業をはじめとする東洋学の研究がどのような性格を持ち、そ れをどのように法律的に解釈できるのかについて、今後、共同研究をしていき たいと提案された。その際、前述の通り著作権法だけにとどまることなく、国 内の関連法、中国・台湾・ドイツ・アメリカなどの法律など、多角的な視点が 求められることは言うまでもない。 また、強調しておきたいのは、民法や著作権法には、公序良俗などに反しない 限りコミュニティーの合意や契約を優先する「私的自治」の原則が存在し、法 律の内容も多くがそれを優先する「任意規定」であって、絶対に法律通りでな ければならない「強行規定」(刑法など)とは異なる、という点である。つま りこれは裏を返せば、研究・教育情報をめぐる東洋学コミュニティーの合意形 成がこれから強く求められるということであろう。 今後、研究・教育活動はますますの国際化を求められ、またデジタル技術の重 要性は決定的となってくるであろう。国会のような場で議論・制定される法律 が、現代の高度情報化社会に追いついていないことは人口に膾炙されていると ころであるが、我々研究者も、旧来の慣習や方法に拘泥するのでは、せっかく の研究業績も、予算をかけた便利なデジタルアーカイブも、死蔵される可能性 がある。隠逸を好んでばかりはいられないのである。 【このコラムは不定期掲載です。】 ==Information========================================================= ・このメールマガジンは、講読をお申し込みいただいた方に、無償で送信して おります。 ・このメールマガジンは、インターネットの本屋さん『まぐまぐ』 を利用し  て発行しています。http://www.mag2.com/ (マガジンID: 0000083458) ◆登録変更・講読停止 ----- http://jaet.gr.jp/mag/ ◆漢情研入会申し込み ----- http://jaet.gr.jp/guiding.html ====================================================================== ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ ┃ 漢字文献情報処理研究会メールマガジン 第三十九号 [2003.8.15] ┃ ┃ 毎月1日・15日発行 ┃ 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